こんにちは。やまけんです。久々の記事更新ですが、今回は激安中華プロジェクターは買いかどうかという点で記事にしたいと思います。
なんで買ったの?
全てはこのツイートが原因です。
という感じで送られてきたリプライについてたリンクが、今回のテーマの中華プロジェクターです。

本プロジェクターは購入時で¥5,900と、通常市場価格でこのクラスのものが10,000円前後なのに比べて割安となっており、極めてお買い得感があります。
しかしながら中華プロジェクタについては
・カタログスペック通りではない
・耐久性に難あり
・買っても初期不良でまともじゃない
なんてことがあるため、実際に購入してみなければどのようなものかわかりません。そのため今回は購入してみて、どのようなものかというのを検証したいと思います。
そもそもプロジェクターの仕組みとは
まずはプロジェクターというものがどのようなものかというのを知っていなければ、使用用途や環境などでこれを買って失敗したとか、買って正解だったとかの判断基準にならないので、簡単に説明します。
まず、2020年現在のプロジェクターについては
・光源
・投影方式
この2点の部分を組み合わせた複数の選択肢があります。
光源
光源というのは書いてのとおり、投影するために使う光源そのものです。2020年現在だと下記のものがあります。
・電球
・LED
・レーザー
電球
言わずもがな。エジソンが発明した電球を光源に使っています。
コストは非常に安く済みますが、市販の電球と同様フィラメントに電圧をかけて発光させる都合、発熱や寿命の問題があります。
LED
家庭用電球がLEDに置き換えられたように、プロジェクターの光源もLED方式のものが出てきています。LEDの魅力は省電力、そして耐久性が挙げられます。また、3色のLEDを光源にすることで色再現性を高めるという方法に使われることもあります。
しかしながら明るさの点では電球には劣ってしまうため、家庭用小型プロジェクターなどでの利用にとどまっています。
レーザー
光源にレーザーを使うものも出てきています。レーザーというと高出力の光の線というイメージがありますが、半導体レーザーを使ってかつ、光が拡散するようにフィルターを通した上で使われます。光の特性としてはLED同様に省電力・高耐久性がありますが、LEDに比べてコストが割高になり、光源としてもLEDよりかなり明るくなってしまいます。そのため家庭用では無く、映画館のデジタル投影プロジェクターに使われることが多いです。
投影方式
投影方式というのは実際に映像を写す上で、何を使って映像を出すのかという重要な部分となります。2020年現在では下記の2方式が一般的です
・液晶方式
・DLP方式
液晶方式
液晶方式はテレビやスマホ、ディスプレイで使われてる液晶モニタと同様、液晶を後ろから明るい光源で照らすことによって、スクリーンに投影する方式です。
液晶方式のメリット
液晶方式のプロジェクタのメリットは低価格というところになります。
これは、スマホなどの小型デバイスの液晶パネル生産ラインを流用することによって、量産効果を高め、パネル1枚のコストを下げることが容易なためです。またパネル自体のサイズも小型なため、歩留まりも高く、プロジェクタとしては比較的安価な製品が多いです。
国内では自社で液晶パネルを製作していた関係からエプソン製プロジェクタが安価で高品質な製品を提供しています。
https://www.epson.jp/products/bizprojector/
液晶方式のデメリット
これは、液晶パネルそのものの特性に起因するデメリットになりますが、下記の点があげられます
・液晶パネルの偏光という技術を使うことによって明るさを調節しているため、黒をはっきりと出すことが苦手。光が少し漏れてしまう。
→そのためコントラスト比が低い
・液晶そのものの応答率の問題で、動きの激しい映像について残像が発生してしまう。
→スポーツ観戦や動きのあるゲームでは不向き
そのため、液晶パネルでもコントラスト比を確保するために、わざわざ光の三元色分パネルを用意して、改善することも行っていますが、せっかくの液晶パネルのコストが低いという点を3枚も使ってしまうと打ち消してしまうため、正直メリットがあまりなくなります。(コントラスト比は改善できても、黒が浮く部分についてはあまり改善しません。)
DLP方式
DLP方式というのは液晶を使わず、半導体素子の上に乗った極小の鏡を使い、光を反射させることによってディスプレイへ投影する方法となります。
具体的には、半導体表面のミラーを操作して光の反射を利用するわけですが、この応答速度が非常に速く、細かくスイッチすることで階調表現を行なっています。
家庭用DLPプロジェクタの場合1つのミラーチップで光を反射するのですが、光の三元色分の光源がなければ色表現することができないため、カラーホイールと呼ばれる、3色セロファンを貼った回転体で光を三原色に変え、ミラーを使って反射させることにより、カラー映像を取り出します。
また、光源を3色のLEDやレーザーによってカラーホイールを省略することもできますし。
しかしながら、現時点で米国テキサス・インスツルメンツ社が権利を保有するため、肝となる光を反射させる半導体チップが1社独占状態になっています。なので、必然的にこの方式を採用しているメーカーのプロジェクターはほぼ同じ特性になります。
DLP方式のメリット
コントラスト比が高く黒が浮かなく、動きの激しい動画に強い。
これについては液晶方式のデメリットに対するところになりますが、仕組み上光の反射を高速でスイッチングしているため、光が出ない=黒というところでコントラスト比や黒浮きがしません。
ミラーがそもそも高速で稼働するため、液晶のような、応答速度が遅いということがありません。
DLP方式のデメリット
家庭用DLP方式の場合、光源の明るさを無駄にしてしまうために、消費電力や発熱が大きくなる。
これは、1チップDLP方式での問題になりますが、1つのチップで光の三原色それぞれをオンオフするため、光の大半を無駄に捨てています。そのため、省エネかというと疑問符が。
お勧めプロジェクタ
さて、それを踏まえて、用途別プロジェクターお勧めを書き出します
安くてコスパの良いプロジェクタが欲しい
画質や明るさを犠牲にしてよければ、LED中華の1万を切るモデルです。今回のプロジェクタみたいな。
映画やゲーム用途のプロジェクタが欲しい
DLPタイプの電球光源のものです。メーカーで行くとBenQのものがコスパが良いです。それでも5万円超えますけど。。。
個人的おすすめは BenQ DLPプロジェクター MH550 約6万円

雑談 プロジェクターの明るさの話
プロジェクターの明るさにルーメンという単位がありますが、この数字、置く場所によってかなり重要です。
外光が入らず、照明を消した部屋
→1500ルーメン以上で十分

外光が入らず、照明をつけた部屋
→ 3000ルーメン以上で十分

外光の入る明るい部屋で昼間に利用
→4500ルーメン以上必要

本題。今回の中華プロジェクタをチェック
カタログスペック
では、ここからが本題です。前置きクソ長い。。。
まずは基本性能ですが、HP上にはこんな感じで書いてありました。

【高輝度&フルHD 1080P】このビデオプロジェクターは、明るさを5000ルクス、2000:1のコントラスト比にアップグレードし、最大解像度は1920 * 1080pに対応し、画面サイズは32インチ〜176インチです。家で明るさのHD映画を見るというあなたのニーズを完璧に満たし、家族や友人と大画面のエンターテイメントをお楽しみください。
https://amzn.to/30rzHcE
正直、ほんとかよっていうスペックですね。この価格で5000ルーメンクラスのものが手に入るはずがないと思います。それにフルHDってマジかよ。って感じですね。本当なら超お買い得です。

というわけで、実機を検証しましょう。

箱にはW90という型番が書いてあります。この型番で調べてみましょう。そうするとAmazonで複数台ヒットしました。

ちなみに購入した金額より安い! 2310円 + 送料999円
しかもスペックが

仕様:
物理的解像度:800 x 480
明るさ:1500
コントラスト:1000:1
画面比率列:4:3/16:9
投影比:1.4:1
投影技術:LCD
最大解像度のサポート:1080P
サポートされている色の数:16770K
投影サイズ:32-150インチ
早速カタログスペック詐欺っぽいですねー。
もう1台

こっちはお高くなって1万ぐらいの価格

仕様:サポートされる言語:チェコ語。中国語;英語;デンマーク語;ドイツ人;スペイン語;ギリシャ語;フランス語;クロアチア語;イタリアの;ハンガリー語;オランダの;ノルウェー語;研磨;ポルトガル語;ロシア;ルーマニア語;言語;セルビア語;フィンランド語;日本語;韓国語;スロバキア。23言語(日本、韓国語には個別のブラシソフトウェアが必要)
物理的解像度:800 x 480
明るさ:1500
コントラスト:1000:1
画面比率列:4:3/16:9
投影比:1.4:1
投影技術:LCD
最大解像度のサポート:1080P
ということでどうやら、解像度は 800×480 信号としては1080Pまで受けれる、明るさは1500ルーメン、コントラスト比は1000:1と全然スペック違うんじゃないかと。
開封

布のケースに入ってるようです


ケースにきれいに収まっています。中華なので期待していなかったのですが、これは好印象です。

内容物としてはプロジェクタにチルトアップ用ネジ、電源ケーブル、コンポジット変換ケーブル、HDMIケーブル、リモコン、取説という感じ

筐体の上部にはフォーカスリングと台形補正のリング、あとはボタン類

側面にHDMIやVGA、USB、コンポジット、ヘッドフォン出力、TFと書いているのはTransFrashですね。ちゃんとMicroSDの認証取ってないのでしょうね。使えるかは謎

説明書のスペックを見ると1280×720となってますね。ほんとか?とすごい疑問ですが。
試写
では実際に試写してみましょう。
今回は私が9年前に購入したNECのNP-V260WJD (1280×800 2600ルーメン DLP方式)と比較したいと思います。
https://jpn.nec.com/products/ds/projector/viewlight/v260xjd.html

暗室での投影

スクリーンはニトリの遮光ロールカーテンです。幅が1800mmなので、16:9だと81インチ程度になります。
で、ちょっと普段使いには障害物があるので、ズームを縮小したいのですが、この子光学ズームリングが存在しないので、デジタルで縮小することになります。
25%まで縮小できるのですが、要は液晶の投影画素数を減らすことになるので、解像度がどんどん悪化します。なので、本体位置を動かさないと辛い。さすが格安プロジェクタ
まあ。ここは割り切れれば問題ないです。
明るい室内での投影

明るい室内での投影です。
全く見えません!これは絶対5000ルーメンはない!まあ、そもそも5000ルーメンあれば、暗い部屋でもめっちゃ明るすぎて使い物にならないんですけどね。
比較で2600ルーメンのプロジェクター

ちょっとみづらいですが、まあ使えます。だいたい室内では3000ルーメン欲しいです。
なので、これは外光が入るような部屋では全く使えないことになります。
明るさ比較

あえて2600ルーメンのプロジェクタと投影を重ねたのと、普通の液晶モニタも写し込みましたが、明らかに暗いですね。暗い室内で使うのがギリギリな気がします。

明るい室内で比べると、もう暗すぎてわからない。。。
亡霊みたい。。。
解像度比較
では実際にカタログスペックのフルHD1080あるか、もしくはマニュアルのHD720もあるのか。それとも型番で検索した結果でてきたSD480なのか。

なんかドットが目立ちます。

720Pのプロジェクタと比較すると、明らかにドットがでかいです。すなわち解像度が低い!
これは非常に悪いですねー。

正直、暗い室内で離れて見るなら耐えられると思います。
ですが、コントラスト比が悪いせいで、非常に色が変です。まあ、それは別として、今回はソースが地デジなので1080iソースです。実質は720p相当なので、そのソースでこの程度ですから、BDとかのネイティブ1080pだと画質が劣化して見えると思います。
総評
価格や性能を考えれば下記の人には割り切って使用できます。
・今までプロジェクターを持ってなくって、とりあえず大画面で安いプロジェクターが欲しい人
・解像度、明るさ、コントラストを割り切って理解して使える人
向かない用途
・VJ用途(圧倒的に明るさやコントラストが足りない)
今回購入価格が5900円だったこともあって、評価的には星2つですが、これが1万ぐらいだと星1つですね。
個人的にはこのクラスからがお勧めできるかなー
リコー PJ WX2440 価格.com最安値で ¥33,400
1280×800 3100ルーメンDLP方式
現在、低価格のプロジェクターを探しており、Amazonで色々調べて口コミを兼ねてTwitterで検索をかけて見ていたところ、この記事が見つかりました。冒頭から分かりやすく比較などもあり、とても参考になり貴重な記事だと思いました。ありがとうございます!!